
勝手口の設置を検討する際、開き戸タイプにするか、引き戸タイプにするか、悩まれる方は多くいらっしゃいます。
私の家の勝手口は引き戸にしましたが、見た目もスッキリしており今のところ不便に思うところはありません。
引き戸は、開閉にスペースが必要なく、通路や庭などの狭い場所でも邪魔にならないというメリットがある一方で、開き戸に比べ費用が高くなったり、アトセットでの取付により、わずかな隙間ができ隙間風の発生の可能性もある。といったデメリットもあります。
勝手口を検討するのであれば、設置場所の状況や使用用途により検討することが大事です。防犯の観点では開き戸でも引き戸でも大きく変わりはありません。私の家の勝手口は引き戸しましたが、特に後悔したことはありません。
この記事では、引き戸の代表的なデメリットをはじめ、それぞれの問題点に対してどう対策すべきかをわかりやすく解説していきます。
これから勝手口の設置やリフォームを考えている方が後悔しないために、ぜひ参考にしてください。
このポイント
- 勝手口を引き戸にした場合のデメリットとメリット
- 勝手口自体のデメリットとメリット
- 勝手口の設置に関する知識
- 引き戸の防犯性能を高めるポイント
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勝手口が引き戸の場合のデメリットとメリットを解説

勝手口は、玄関以外にお家の出入りをするのに便利な扉です。メリットやデメリットについて以下の点で解説します。
- 勝手口の引き戸のデメリットは?
- 勝手口のドア自体のデメリットは?
- 勝手口が引き戸のメリットは?
- 勝手口自体のメリットは?
- 勝手口ドアの耐用年数は?
勝手口の引き戸のデメリットは?

勝手口の引き戸には、見た目や使い勝手の面で優れている点もありますが、注意しておきたいデメリットもいくつか存在します。
- 開き戸に比べ価格が高くなる
- 商品によっては開口幅が狭くなる
- レールの掃除が手間
- 隙間風が入りやすい
開き戸に比べ価格が高くなる
引き戸はスライド用のレールなどの部材も必要なため、同じメーカーで同じデザイン・性能の商品でも、開き戸に比べると価格が高くなる可能性が高くなります。
見積を比較して自分の予算に応じて、検討するようにしましょう。
商品によっては開口幅が狭くなる
商品によっては開口幅が狭くなるものがあります。
下の写真は、私の家に設置されている勝手口の引き戸ですが「YKK製」の物です。

窓枠に対してドアが全部開ききりません。取っ手の部分が隠れてしまうため、完全に開かないようになる仕様となっています。そのため開きドアに比べると開口幅が狭くなります。

約48cmの間口です。荷物などが多い時に狭くて不便を感じることがあるかもしれません。
ただし「LIXIL製」の物は全開できるようになっていました。
実際設置をする際は、どのメーカーの製品の物なのか確認するようにしましょう。
レールの掃除が手間

引き戸の場合、レールが屋外でむき出しになっています。
屋外に面している勝手口では、風雨や砂埃でレールが汚れやすく、掃除するのをサボっているとスムーズに開閉できなくなる可能性もあります。
隙間風が入りやすい

勝手口の引き戸は、アウトセット引き戸となります。既にある壁の上の外からレールと扉を設置する方式です。
壁と一体となっている訳ではないので、わずかな隙間が発生し、冬の寒い日などは隙間風を感じることが多くあります。
ただし、虫が入ってこれるほどの隙間ではないので、虫の心配は無くても大丈夫です。
勝手口ドア自体のデメリットは?

勝手口ドアには、家事動線をスムーズにするなどの利点がある一方で、設置や運用において注意すべき点も存在します。
- 防犯リスクが増える可能性
勝手口は家の裏手など人目につきにくい場所に設置されることが多いため、侵入経路として狙われやすくなります。とくに築年数の古い住宅では、鍵の種類やドア材質が現在の防犯基準に満たないケースもあります。 - メンテナンスの手間がかかる
勝手口は風雨の影響を受けやすい場所にあるため、ドア枠の腐食や建て付けのズレといった劣化が早く進む傾向にあります。これにより、定期的な修繕や交換が必要になることも少なくありません。 - 断熱性・気密性の課題
キッチンに面していることが多い勝手口からの外気流入は、室温の安定を妨げ、冷暖房効率の低下を引き起こす要因になります。
断熱性を高めたい場合は、複層ガラスや樹脂製のサッシ、断熱材入りの引き戸など、性能に優れた製品を選ぶことが重要です。
勝手口が引き戸のメリットは?
逆に勝手口を引き戸にした場合のメリットを解説します。
- 限られたスペースでも使いやすい
- 風の強い日でもドアが勢いよく閉まらない
- 換気用の風通しを確保しやすい
限られたスペースでも使いやすい
引き戸の勝手口には、限られたスペースでも使いやすい点が特徴です。
開閉にスペースを取らないことが大きなメリットです。ドアを前後に動かす必要がないため、通路や庭などの狭い場所でも邪魔になりません。買い物帰りに両手がふさがっているときでも、軽い力でスムーズに開け閉めできます。
風の強い日でもドアが勢いよく閉まらない
風の強い日でもドアが勢いよく閉まってしまう心配が少ないのも利点です。
開き戸の場合は強風でバタンと閉まったり、勢いよく開いたりして危険を伴うことがありますが、引き戸であればそうしたリスクを軽減できます。
換気用の風通しを確保しやすい
引き戸は換気にも便利です。少しだけ開けて固定しておけば風通しを確保しつつ、外からの視線をある程度遮ることもできます。
日常的に生ごみやニオイのあるものを外に出す際にも、短時間の出入りがスムーズです。
勝手口自体のメリットは?

勝手口を設けることで、日々の生活がぐっと快適になる場面が多くなります。玄関とは異なる「裏口」としての役割があるからです。
特にキッチンと勝手口がつながっている間取りでは、ゴミ出しや買い物の荷物を運び入れる際に非常に便利です。玄関を通らずに外とつながれるため、生活動線がシンプルになり、時間や労力の節約につながります。
また、換気や採光の面でもメリットがあります。キッチン周りは熱がこもりやすく、臭いが気になることもありますが、勝手口があることで自然の風を取り入れて、空気の循環を良くすることができます。小さな窓では得られない開放感も得られます。
さらに、防災や緊急時の避難経路としても活用できます。玄関が塞がれたときに、もう一つの出口として機能するため、安全面でも一定の役割を果たします。
勝手口ドアの耐用年数は?
勝手口ドアの耐用年数は、素材や使用環境によって異なりますが、一般的には15〜20年程度とされています。アルミ製や樹脂製など、近年の製品は耐久性が高まっているものの、経年劣化は避けられません。
特に、雨風が直接当たる場所に設置されている場合、塗装の剥がれやサビ、部品の摩耗が早まる傾向があります。開閉の頻度が多いと、レールや戸車部分に負荷がかかり、動作がスムーズでなくなることもあります。
外見や機能に不具合が見られなくても、15年を過ぎたあたりから点検や交換を意識すると良いでしょう。
勝手口が引き戸のデメリットを踏まえた様々な知識

勝手口の引き戸にまつわる様々な知識を以下の点で解説します。
- 勝手口を設置するのに最適な場所は
- 勝手口を引き戸にした方がいい人は?
- 勝手口は通風タイプがオススメ
- 勝手口の引き戸の防犯の問題点
- 勝手口のスライドドアの防犯対策
- 勝手口はリフォームで後付けできます
- 勝手口の引き戸をDIYする場合の注意すべき点
- 勝手口の引き戸をおしゃれに改善
勝手口を設置するのに最適な場所は

勝手口を設置する場所として最も多く選ばれるのは、キッチンや洗面・脱衣所の近くです。生活の動線に自然と組み込むことで、使いやすさを最大限に高められるためです。
キッチン横に勝手口があると、料理中に出た生ゴミをすぐに外へ出すことができ、室内に臭いがこもるのを防げます。また、買い物から帰ってきた際に勝手口から直接キッチンへ入れると、重い荷物を家の奥まで運ばずに済むため負担が減ります。
洗面所や脱衣所に近い場所に設置するパターンも見られます。このような間取りでは、洗濯物を外干しする際の動線がスムーズになります。洗った衣類をそのまま外へ運べるため、無駄な移動がありません。
ただし、注意すべきなのは周囲の視線や安全性です。道路や隣家から丸見えになる位置に設けると、プライバシーが損なわれたり、防犯面で不安が残ったりします。そのため、目隠しフェンスの設置や、屋外からの視線を遮る工夫も忘れないようにしましょう。
勝手口を引き戸にした方がいい人は?
- 狭小地など、開き戸を空けるスペースが確保できない人
限られたスペースを有効活用したい方や、頻繁に物の出し入れをする方です。引き戸は開閉時に前後のスペースを取らないため、狭い場所でも使いやすく、ストレスなく開閉できます。 - 引き戸による費用アップでも問題ない人
引き戸より開き戸の方が設置費用が高くなるケースがほとんどですが、予算的に問題ないのであれば、引き戸にしても問題ありません。 - レールの掃除などの手間が気にならない人
引き戸にはレールがあり、外気に触れる場所のため汚れる可能性が高くなっています。あまり気にならな方にはオススメです。
勝手口は通風タイプがオススメ

勝手口を通風タイプにすることで、空気の入れ替えがしやすくなり、家全体の換気効率が上がります。
上の写真は通風タイプの勝手口です。上下にスライドして開閉できる網戸付きの窓がついており、虫の侵入を防ぎながら安心して風を取り込めます。
特にキッチンと隣接している場合、料理中のにおいや湿気をすばやく外へ逃がせるため、室内環境の快適さを保ちやすくなります。
例えば、夏場に室温が上がりやすい台所では、通風タイプの扉を少しだけ開けておくだけでも風通しが良くなり、エアコンの効きも改善されます。また、冬場でも扉を大きく開けずに換気ができるため、室温を大きく下げずに空気を入れ替えることが可能です。
また、ちょっと外の様子が気になった時などにも、窓を開けることなく外の様子が確認できるので便利です。
勝手口に格子設置することで防犯性能もあがるためオススメです。
勝手口の引き戸の防犯の問題点
勝手口の引き戸は便利な一方で、防犯面での注意が必要です。バールなどの工具でこじ開けられるリスクが高まるケースもあります。
勝手口は目の届きにくい場所に設けられることが多いため、泥棒にとっては格好の侵入口になります。周囲に塀や植栽がある場合、外から視認しにくく、侵入行為が発覚しづらくなる点も防犯面でのマイナス要素です。
引き戸の多くはガラス面が広く設けられているデザインが多いため、ガラスを割って鍵を開けられる可能性もあります。このような構造的特徴が、侵入者にとって「開けやすいドア」と見なされる理由になりかねません。
勝手口のスライドドアの防犯対策

勝手口にスライドドア(引き戸)を採用している場合の防犯対策は特に慎重に行う必要があり、できる対策について解説します。
ディンプルキーや二重ロックの物を選ぶ
勝手口の鍵には、ピッキング対策などが施されているディンプルキー式の物を選ぶことが効果的です。
また、鍵も1つではなく2つ鍵を使用する物を選びましょう。
ガラス部分の防犯フィルムを貼る
ガラス部分の防犯フィルムや、強化ガラス・合わせガラスへの交換も有効です。
窓ガラスを割られて解錠されるリスクを下げるためには、こうした物理的な強化が欠かせません。
面格子を設置する
上の写真のような「面格子(めんごうし)」の設置がオススメです。
面格子とは、扉や窓の外側に取り付ける金属製の格子のことで、不審者が物理的に侵入するのを防ぐ役割を果たします。ガラスを割ってもその先に格子があるため、手や工具を入れづらく、犯行を諦めさせる抑止効果が期待できます。
人感センサーや防犯カメラの設置
人感センサー付きのライトや防犯カメラを設置することも、狙われにくくするための工夫です。
目立つ位置にカメラがあるだけで、犯行をためらわせる効果があります。
犯行開始から5分間侵入を防ぐしくみ作り
警察庁からは、5分間侵入されない事が重要と以下のページで解説されています。
>>住まいる防犯110番侵入者プロファイリング
最新の勝手口には防犯対策された物が多くあります。しっかり検討して設置するようにしましょう。
勝手口はリフォームで後付けできます
新築時に勝手口を設けなかった場合でも、後からの設置は十分可能です。実際、生活スタイルの変化や家事動線の見直しによって「やっぱり勝手口があったほうが便利」と感じるケースは少なくありません。
以下のように、後から勝手口の引き戸を設置しました。


ゴミ出しのルートが遠回りだったり、買い物帰りの荷物の出し入れが不便だったりすると、勝手口を増設するだけで日常のストレスが軽減されます。リフォーム工事として設置する場合、建物の構造や外壁の仕上げによって手間や費用は異なりますが、戸建て住宅であれば比較的スムーズに施工できることが多いです。
工事前には、リフォーム業者としっかり相談し、既存の間取りや生活動線を踏まえたうえで位置や扉の種類を選ぶことが重要です。最適なプランを立てることで、後付けでも勝手口のメリットをしっかり活かすことができるでしょう。
勝手口の引き戸をDIYする場合の注意すべき点

勝手口の引き戸をDIYで設置または交換する際には、事前に注意すべきポイントがいくつかあります。
引き戸のレールや戸車の設置には高い水平精度が求められます。少しの傾きでも開閉に支障をきたし、ドアが重く感じたり、音が鳴ったりする原因となります。
また、防犯面にも気を配る必要があります。市販されている簡易的な引き戸は、ロック機能が簡素なものも多く、防犯性が十分とは言えません。見た目や価格だけで選ばず、施錠機能の安全性もチェックすることが重要です。
さらに、断熱性能が低い素材を使用すると、冷暖房効率が下がり光熱費が増えることにもつながります。こうした点を無視してしまうと、せっかくのDIYがかえって不便を招く可能性もあります。
DIYではコストを抑えられる反面、精度・安全性・性能面で妥協が生じやすいため、施工前にしっかりと情報収集し、必要に応じて専門業者に相談するのが安心です。
勝手口の引き戸をおしゃれに改善
勝手口の引き戸を「おしゃれ」に改善するには、デザイン性だけでなく機能性も意識した工夫が必要です。玄関に比べて見落とされがちな勝手口ですが、工夫次第で家全体の雰囲気を引き立てるポイントになります。
例えば、木目調のアルミ素材やモダンなスチール素材の引き戸に替えることで、見た目の印象は一気に変わります。
また、周囲の壁や床材と色や質感を揃えることで、統一感のある空間に仕上がります。外から見える部分にも配慮して、植栽や照明を工夫すれば、引き戸まわりがより魅力的に映るでしょう。
カーテンやロールスクリーンを取り入れるなど、内側からの見た目も整えると生活感が抑えられ、スタイリッシュな印象を演出できます。
単なる出入り口ではなく、「見せる引き戸」として考えることで、勝手口も家の一部としておしゃれにグレードアップできます。
【まとめ】勝手口の引き戸のメリット・デメリットを理解して設置しましょう

引き戸は、開閉にスペースが必要なく、通路や庭などの狭い場所でも邪魔にならないというメリットがある一方で、開き戸に比べ費用が高くなったり、アトセットでの取付により、わずかな隙間ができ隙間風の発生の可能性もある。といったデメリットもあります。
勝手口を検討するのであれば、設置場所の状況や使用用途により検討することが大事です。防犯の観点では開き戸でも引き戸でも大きく変わりはありません。
自信の状況を考慮して設置するようにしましょう。
- 開き戸に比べて本体価格や工事費が高くなりやすい
- 商品によっては開口幅が狭く、荷物の出し入れがしにくい
- レール部分に砂やホコリがたまりやすく掃除が面倒
- アウトセット式のため壁との間に隙間ができやすい
- 冬場に隙間風を感じることがあり冷暖房効率が下がる
- 強風時にレール内のゴミで開閉がしづらくなる
- 開口部の構造上、防音性が低くなることがある
- ガラス部分が広く、防犯面でのリスクが高まることもある
- 商品選びを誤るとスムーズに開閉できないケースがある
- レールの経年劣化で扉の動きが重くなる可能性がある
- 安価な製品は断熱性能が低く結露の原因になることがある
- 自力でDIY設置するには技術と正確さが求められる
- 目立たない位置に設置すると侵入経路になり得る
- 安全性や防犯性を高めるには追加の設備投資が必要になる
- 設置場所や構造によっては外観のバランスを損ねることがある