山は相続でいらない人
「どこにあるか分からないような山はいらないんだけど?相続しないといけないの?」
相続が発生して、どこにあかるかも分からない山はいらないと思っている方も多いのではないでしょうか?
山林を相続することで、管理負担や税金などのデメリットがあり、処分をしようにも売れない・寄付するのに費用が掛かるなど、面倒な手間や時間ががどうしても掛かります。
一方で、利用価値がある山であれば、自然資源の利用やレジャー活用にできたりなどのメリットも存在します。
しかし、山がいらないからと言って相続を放棄する場合、他の財産も放棄する必要があります。山以外も相続する価値のない財産ばかりなのであれば、放棄してしまった方が時間と手間が省けるのでありかもしれません。
どちらにせよ、地元の役所や森林組合などにも相談して、他の相続権利者とじっくり検討する必要があります。
この記事では、山の相続について考えている方に向けて、相続する・しないのメリット・デメリットや、山を相続した後の処分法などの戦略について解説します。
山を相続するのかどうかの参考にしてください。
この記事のポイント
- 山を相続しないことで得られるメリットと避けられる負担について
- 山を相続しない場合に生じるデメリットやリスクについて
- 相続した山の場所を確認する方法や税金などについて
- 相続した山の処分方法や活用の選択肢について
いらない山の相続は不要?メリット・デメリットなど知っておきたいポイント
いらない山を相続するかどうかを考える時に知っておきたい点を以下で解説します。
- 山を相続しないメリット5選
- 山を相続しないデメリット5選
- 山を相続するメリット6選
- 山を相続するデメリット6選
- 山林を相続しないとどうなる?
- いらない山を相続しなくてもいい人
- 山だけ相続しないのは可能?
- 相続した山は放置でもいいの?
山を相続しないメリット5選
山を相続しなかった場合に以下のようなメリットが得られます。
- 管理負担から解放される
山を相続しないことで、定期的な手入れや管理作業の負担を回避できます。草木の手入れや境界の確認が必要で、放置すれば自然災害による土砂崩れなどのリスクも増えるため、手間をかけずに済むことは大きなメリットです。 - 固定資産税の負担を避けられる
山を相続すると固定資産税が課される場合がありますが、相続を放棄することでこの税負担を回避できます。特に、収益が見込めない山林を所有していると、税金だけが支出となり負担にしかなりません。 - 不要な管理責任を負わずに済む
相続した山でトラブルが発生した場合、所有者が責任を問われることがあります。倒木や崩壊などが近隣に被害を与えるケースが考えられますが、相続を放棄すればこうした管理責任から解放されます。 - 資産価値が低い土地を持たなくて済む
山林は売却が難しく、資産価値も低い場合が多いため、将来的に活用する計画がないなら相続をしない方が得策です。資産としての価値が低い土地を抱え込むよりも、相続しないことでリスクを回避できます。 - 相続に伴う手続きが不要
山を相続すると名義変更や各種届け出が必要になりますが、これらの手間を省くことができます。面倒な手続きを避けることで、時間や労力を節約できます。
山を相続しないデメリット5選
山を相続した場合は以下のようなデメリットがあります。
- 他の相続人への負担がかかる可能性
相続を放棄すると、他の相続人が代わりにその山を相続することになり、その分負担がかかる場合があります。特に、山林が複数人の名義になると管理や売却がさらに難しくなる可能性があります。 - 山以外の資産をすべて放棄しなければならない
相続放棄は遺産の一部だけの放棄は認められておらず、すべての相続財産を放棄することになります。他に価値のある相続物がある場合、それも放棄しなければなりません。 - 所有権を持てないため利用もできない
相続を放棄するとその山林を自由に使うこともできなくなります。山を放棄した場合、たとえばキャンプ場やアウトドア施設の経営、自然資源の活用などのチャンスも逃すことになります。 - 土地の売却益を得られない
山を売却することで利益が見込める場合もありますが、相続を放棄するとその売却益を得るチャンスがなくなります。もし売却が見込める山林であれば、相続して売却を検討する方がメリットがあるでしょう。 - 家族とのトラブルが生じる可能性
相続を放棄することで、他の相続人や家族に負担をかける場合があり、それが原因でトラブルに発展する可能性もあります。特に、相続放棄が親族間での意見不一致を生むこともあるため注意が必要です。
山を相続するメリット6選
逆に山を相続した場合のメリットは以下があります。
- 自然資源の利用価値
山林を所有することで、木材や山の資源を利用できる可能性があります。自分の山から得られる木材は建築材や薪として使えたり、販売して収益を得ることも考えられます。 - 電柱が建っていれば収益を得れる場合がある
所有している山の敷地内に、電力会社の電柱や携帯電話会社の電波塔などの建設を許可すると、敷地の使用料の支払いを受けることが可能となります。 - キャンプやレジャーなどのプライベート利用
所有する山はキャンプや登山など、個人的なレジャーとして活用でき、自然と触れ合う時間を楽しめます。特に人の手が入らない静かな場所が確保できるのは大きな魅力です。 - 生態系保全や環境保護への貢献
山林を適切に管理することにより、地域の生態系を守り、自然環境の保護にも寄与できます。森林保全に貢献することは、持続可能な社会を支える意義ある行為です。 - 固定資産税の優遇措置
一部の山林は固定資産税の対象外、もしくは税率が低い場合があり、都市部の不動産と比較して税負担が軽いケースもあります。これにより、費用負担が抑えられます。 - 将来の資産価値の可能性
山林がある地域の開発計画や観光需要が高まった場合、土地の価値が上昇し、資産価値としての可能性が出てくることがあります。特に観光地やリゾートエリアの近くであれば、その価値が上がることが期待できます。
所有している山の敷地に立っている電柱の使用料で生計を立てている方もいます。
山を相続するデメリット6選
山を相続した場合のデメリットは以下のような感じです。
- 管理の手間と費用がかかる
放置している人が大半ですが、本来山林の維持には定期的な草刈りや倒木の処理が必要です。放置すると荒れてしまい、自然環境や近隣に影響を与える恐れがあるため、管理に手間や費用がかかります。 - 相続税や固定資産税が発生する
山を相続する際には相続税や固定資産税の負担が伴います。特に広い土地の場合、税負担が大きくなる可能性があり、資産を維持するための費用負担が課題になります。 - 売却が難しい場合がある
山林は、都市部の土地とは異なり、買い手がつきにくく、売却が難しいことが多いです。場所によっては市場価値が低いため、処分したいと考えても長期間売れないことがあります。 - 管理責任が発生する
山林を所有している限り、所有者としての管理責任があります。自然災害などで近隣に被害が及んだ場合、責任が問われる可能性があり、所有し続けるリスクもあります。 - 維持が放置につながりやすい
自然災害や環境の影響で、山林が荒れやすく、維持管理が疎かになるケースもあります。特に遠方に住んでいる場合、定期的な管理が難しく、山林を放置してしまうリスクが高くなります。 - 処分できない可能性がある
売却はもちろん、寄付をすることもできず、寄付ができたとしても費用が多く必要になる可能性があります。
私の知人で山を相続して所有している人がいますが、場所は不明で、どうなっているのかも知らない状態で数十年経過していますが、税金もかかっておらず、特に何も勧告を受けるようなことも起きていない。というパターンもあります。
山林を相続しないとどうなる?
山林を相続しないと「管理責任」は継続する可能性があります。
相続放棄をせず、親の名前のままにしていたとしても、正式に相続放棄の手続きを取らない限り、管理の責任が引き継がれます。特に、山林が荒れたまま放置されて倒木や土砂崩れのリスクが生じると、近隣に被害を及ぼす可能性があり、所有者としての責任が問われることもあります。
さらに、自治体が管理を代行するケースもありますが、その場合、管理にかかった費用が請求される場合があります。山林の放棄が結果的に負担になることもあり、地域によって自治体の対応は異なるため、事前の確認が重要です。
また、相続放棄をしなければ、相続税や固定資産税の負担が発生し、長期的な経済的負担につながる可能性があります。
さらに、管理が行き届かない山林は自然環境にも悪影響を及ぼします。手入れが行われず樹木が過密になると森林の生態系が乱れ、倒木や害虫被害が広がることで、地域全体に悪影響が出ることもあります。
こうした問題を回避するためには、きっちりと相続放棄手続きを行うことが不可欠です。
いらない山を相続しなくてもいい人
いらない山を相続してしまうと、管理責任や税金の支払いなどのリスクを伴い、処分しようと思っても、売れない・寄付するのに費用が掛かるなど、面倒な手間がどうしても掛かります。
相続を放棄する際には、他の相続人との合意が重要です。家族全員が山の相続に積極的でなく、山以外も相続する価値のない財産ばかりなのであれば、放棄してしまった方が時間と手間を省けていいと思います。
いらない山の相続はもはや罰ゲームのような状態です。
相続を巡ってトラブルが生じないためには、事前に家族や親族と話し合い、相続する資産の分配や管理方法についての合意を取り付けておくことが不可欠です。
山だけ相続しないのは可能?
日本の相続制度では、遺産の一部だけを相続放棄することができないため、他に相続する資産がある場合は、山林のみ相続しないという選択肢は認められていません。
遺産を相続する場合は、すべてを受け継ぐか、すべてを放棄するかのどちらかを選ばなければならず、特定の財産だけを放棄することは不可能です。
山林を相続しない場合は、他の財産も全て放棄する形になるため、預貯金や他の不動産も相続しないことになります。このため、山林の管理負担が理由で放棄する場合でも、他の財産も諦めなければならず、慎重な判断が求められます。
また、山林の相続を避けたい場合は、他の相続人と話し合い、他の相続人が山林を相続する形を取ることも検討できます。話し合いによって合意が得られれば、自分は他の財産を受け取り、山林は別の相続人が引き継ぐという形で相続を調整することも可能ですが、要相談です。
相続した山は放置でもいいの?
相続した山を放置することは可能ですが、いくつかのリスクが伴います。
まず、管理責任は相続人にあります。山が放置されると、倒木や土砂崩れ、山火事などの自然災害が起こりやすくなり、周囲の住民や土地に被害を与える可能性があります。この場合、被害が出た際に責任を問われるリスクがあるため、山の管理は重要です。
さらに、放置された山は資産価値が下がる傾向にあります。手入れをせずに荒れ果てた山林は買い手がつきにくくなり、将来的に売却を考える際にも難航する可能性があります。また、山の環境が悪化することで生態系に影響を及ぼすことも考えられ、地域社会への配慮も必要です。
放置された山でも、固定資産税がかかるため、税負担だけが増え続ける可能性があります。固定資産税は山の規模や評価額に応じて決定されるため、管理が行き届かないまま費用がかかる状況が続くと、長期的な負担になります。
したがって、相続した山を放置するのではなく、適切に管理する、もしくは寄付や売却などの処分方法を検討することが推奨されます。
自分が放置したままだと、自分の子供、孫、ひ孫・・・・と永久に続いていくことになるかも??
山を相続したら相続税はいくらかかる?
山を相続した際にかかる相続税は、山の評価額に基づいて計算されます。山林の評価額が高いほど相続税も増えるため、相続税額の計算には山の詳細な評価が必要です。
山林の場合、土地の評価に加えて、そこに生育する樹木や植生も含めて評価される場合があります。
ただし、山林には「山林所得」としての特例が適用されることが多く、条件を満たせば相続税の減免措置を受けられる可能性があります。この特例は、一定の期間内に適切に申告することで適用されるため、早めに専門家に相談することが重要です。
また、相続税の負担が大きい場合には「分割納税」や「延納」という制度を利用して分割して納付することも可能です。これは高額な相続税を一括で支払うことが難しい場合に役立つ制度であり、資金繰りの面で助けになります。
山を相続する場合、相続税額が思いのほか高くなることもあるため、事前に評価を受け、納税プランを立てることが望ましいでしょう。専門家に相談することで、必要な手続きや特例の適用について適切なアドバイスを受けることができます。
いらない山を相続したら確認するべきことと処分の方法
いらない山を相続したら考えたいことや、売却や寄付など処分に関することを解説します。
- そもそも相続した山の場所が分からない
- 山林を相続したら固定資産税かかる?
- 放置された山林のリスクと管理責任
- いらない山林の処分方法は?
- いらない山の処分戦略
- 相続した山は売れるのか?
- 山を売ったら税金はどのくらい?
- いらない山は寄付できるのか?
- 山を寄付したい場合の手続き方法
- 相続した山の活用法を考えてみる
そもそも相続した山の場所が分からない
山を相続したはいいが、場所が分からん。ということはかなり多くあります。
- 相続財産目録・遺産分割協議書・登記簿謄本などで所在地・番地を確認する。
- 地元の役所や森林組合、自治体の窓口に相談し、山の詳しい位置や管理状況を確認する。
- 遠方やアクセスが難しい場合は、地元の土地家屋調査士や測量士に依頼する。
場所が分からない場合、まずは相続財産目録・遺産分割協議書・登記情報などを確認して、詳しい所在地と番地を突き止めましょう。
登記簿謄本は、法務局や役所関係の施設での閲覧や取得が可能です。どの地域にある山を相続したのかを把握する第一歩になります。登記簿謄本を取得するのであれば、ついでに「公図」も一緒に取得しておきましょう。所有している山の大まかな敷地の形を調べることができます。
山の場合、GoogleMAPなどで住所や番地を検索しても、詳しい場所の特定までは出来ないことがほとんどです。
山の地図情報を確認するためには、地元の役所や森林組合、自治体の担当窓口に相談しましょう。位置を特定するための資料や地図を提供してもらえる可能性があります。また、管理状況についても、役所に聞くと過去の状況や境界の有無などもわかる場合があります。
また、山林が遠方にある場合やアクセスが難しい場合は、土地家屋調査士や測量士といった専門家に依頼するのも一つの方法です。
土地家屋調査士は、山の位置や境界を正確に測定することも可能で、誤解なく土地を把握することができます。特に、山林の境界が曖昧な場合、専門家のサポートがあると安心です。
ただし、面積が広大な場合や、境界の目印など何もない場合は、費用が高額になる可能性が高いので注意が必要です。
山林を相続したら固定資産税かかる?
山林を相続すると、基本的には固定資産税がかかります。
固定資産税は毎年課税されるもので、山林の評価額に基づいて税額が計算されます。山林の評価は、市町村が行う「固定資産評価基準」によって決定され、広さや立地条件、利用状況によって異なります。そのため、山の規模が大きいほど税額も増加する傾向にあります。
ただし、山林には「雑種地」や「山林地」としての評価基準があり、都市部の土地に比べると税額が低めに設定されることが一般的です。税額が一定の金額より低い場合は固定資産税は課税されない場合もあります。地元の役所などの窓口で確認しましょう。
山林としての利用が継続されている場合、一定の条件で税額軽減の措置が適用されるケースもあります。土地の利用目的や環境保護に関わる活動が行われている場合などが該当するため、各自治体の窓口で確認すると良いでしょう。
放置された山林のリスクと管理責任
山林を相続したものの、放置するといくつかのリスクと法的な管理責任が発生します。
まず、山林はそのまま放置しておくと、木の倒木や土砂崩れ、害獣の発生などのリスクが高まります。特に倒木や土砂崩れによる被害は、隣接する土地や住宅に影響を与える可能性があり、これにより損害賠償責任が問われることもあります。また、災害時には山火事の危険性が高まり、周辺地域に対する影響も大きくなるでしょう。
管理責任としては、土地の所有者には「善管注意義務」という責任が課されます。
自分の土地が周囲に害を及ぼさないように管理する義務です。山林を利用していない場合でも、所有している以上はこの責任から逃れられません。管理が行き届かない場合、法的に管理義務を果たしていないとみなされ、訴訟に発展する可能性もあります。
特に、管理を怠ったことで他人に被害が及んだ場合には、賠償責任が生じるため注意が必要です。
さらに、山林を放置することで、固定資産税の課税評価が見直され、税負担が増加するケースも考えられます。こうしたリスクを軽減するためにも、山林の適切な管理方法や処分方法を検討することが重要です。
いらない山林の処分方法は?
- 売却する
山林を売却する方法です。不動産会社や森林組合に相談すると、売却先の候補が見つかる可能性があります。特に、土地の利用価値が高い場合は、買い手が見つかりやすいです。 - 寄付する
自治体やNPOに寄付する方法です。ただし、全ての自治体が山林を受け入れているわけではないため、事前に確認が必要です。寄付が受け入れられる場合、所有者の管理責任から解放されます。 - 分割して譲渡する
複数人で共有名義にして管理を分担したり、親族間で分割して所有する方法です。これにより、管理負担を軽減することができますが、共有者が増えることで意見が分かれやすくなるリスクもあります。 - NPOや環境保護団体に活用してもらう
環境保護活動や森林保全を行っている団体に山林を活用してもらう方法です。団体が受け入れてくれる場合、管理が行き届き、環境保護にも役立てることができます。 - 伐採して更地にする
木を伐採し、土地を更地にすることで、山林の管理コストを抑える方法です。伐採後の更地を売却することも可能で、特に立木の価値がある場合は売却益も期待できます。 - 土地信託を利用する
信託会社に管理を任せる「土地信託」を利用する方法です。所有者は山林の管理責任を信託会社に移譲できるため、負担が軽減されます。
いらない山の処分の戦略
山の売却や処分は土地や建物などの不動産に比べ、かなり苦戦を強いられる可能性が高くなります。
相談をするのであれば、まずは地元の役所や森林組合に問い合わせしてみるのがオススメです。詳しい場所や管理の状況などが把握できる可能性があり、うまくいけば、そのまま処分するための最適な提案を受けれる場合があります。
費用が必要ですが、相続土地の国庫帰属制度を利用するのも手です。
処分の方法としては以下の点が考えられます。
- 地元の役所・森林組合に処分について相談する
- 不動産会社へ売却を依頼する
- 周辺の山の所有者に買ってもらう
- 相続土地の国庫帰属制度を利用する
各項目を以下で説明します。
地元の役所や森林組合などに相談する
山の中でも林業向きの山林であれば、森林組合が引き取ってくれるか、購入希望者を紹介してもらえます。
森林組合とは、森林所有者が互いに協同して林業の発展をめざす協同組合です。 「森林組合法」という法律に基づいて設立されており、この法律は、組合員の経済的社会的地位の向上を図ることと森林の保続培養、森林生産力の増進を図ることを通じて、国民経済の発展に貢献することを目的としています。 つまり、森林組合は、森林所有者自らの相互扶助の組織であるとともに、森林造成を通じて、木材供給のほか国土保全、水資源涵養、環境保全、文化・教育・レクリエーションの場の提供など、森林を通じた人間の生活環境の保全にとって、重要な役割を持つものとして位置づけられています
山が林業に向いているのかどうかが重視されます。林業に向いているかどうかを森林組合に確認してもらいましょう。
全国森林組合連合会のホームページ「都道府県森林組合連合会一覧」から探せます。
不動産会社へ売却を依頼する
不動産会社に山を欲しがっている人を探してもらい売却する方法です。
まずは、相続した山がどれぐらいの金額で売れそうか、不動産会社に査定を依頼しましょう。
山を取り扱う不動産会社は大手より、地域密着系の不動産会社の方が依頼を受けてもらえる可能性が高い傾向にあります。
しかし、山だけの売却に対応している不動産会社は少ないです。山以外に、住宅地や戸建てなどの売却がある場合なら相談に乗ってもらえる可能性も高いです。
不動産会社に宛てが無いのであれば「査定サイト」を利用しましょう。
住宅地や戸建ても売却の予定があるのであれば、以下の「ライフルホームズ」で査定の依頼を出しましょう。ホームズくんのCMなどもしている大手企業が運営しているので安心です。
>>LIFULL HOME'S 不動産売却へ>>森林だけの査定も受付している査定サイトは、「リビンマッチ」です。しかし、地元の不動産会社の登録が無い場合、東京・大阪・広島・福岡オフィスの、査定場所から近い所が対応することになるようです。
山の需要は少ないので、無事売却ができるまでは長期戦になることを覚悟した方がいいです。不動産会社には次の項目の戦略についても相談してみてください。
周辺の山の所有者に買ってもらう
相続した山の敷地と隣接した場所を所有している所有者なら、地続きなので購入してもらえる可能性が上がります。
やり方としては、以下です。
- 法務局や市役所などで、相続した山の地番の「公図」を取得する。
- 「公図」に記載された、自分の土地に隣接している敷地の登記簿謄本を取得する。
- 取得した登記簿謄本を確認して、隣接地の土地の所有者の名前と住所を調べる。
- 隣接地所有者の住所に、相続した山を買ってもらえないか、相談する手紙を送る。
- 購入の意思があり連絡が取れるようになれば、具体的に話を進めて買ってもらう。
④番までは個人でもやれると思いますが、うまく⑤番まで進めることができたら、不動産会社に依頼して、手続きをやってもらった方が安心です。
ただし不動産会社に依頼をすれば、仲介手数料が必要になります。しかし購入者との値段交渉や売買契約、所有権移転までを進めてくれるので、後のトラブルを防げるのでオススメです。
相続土地の国庫帰属制度を利用する
相続によって取得した土地が不要で、管理や維持に負担を感じる場合、法務省が行う「相続土地の国庫帰属制度」を利用することが有効な方法です。この制度は、相続人が管理しきれない土地を国に引き取ってもらえる仕組みで、土地に関する負担を軽減できます。
将来的に土地が所有者不明化し、管理不全化することを予防するために設立された制度です。
ただし、すべての土地が必ず国庫に帰属できるわけではありません。例えば、建物が建っている場合や、崩落の危険がある場合、他人が利用している場合などは受け付けられないケースが多くあります。一番難点なのは境界はハッキリしない場合です。
また、引き渡しに際しては申請手数料や土地調査費用がかかる点も考慮が必要です。申請には、土地が国庫に引き取られることに支障がないことを示す調査が行われ、その結果次第で帰属の可否が決まります。
森林の負担金の例として、1500㎡で約27万円、3000㎡で約30万円となっています。
詳しくは以下の法務省のホームページで確認ください。
全国の法務局の本庁で相談を受け付けています。事前予約が必要なので必ず行ってください。
令和6年10月15日からはウェブでも相談ができるようになっています。
>>法務省ホームページ:相続土地国庫帰属制度の相談対応について>>
利用には適用条件や手続きの負担が伴うため、慎重な対応が必要です。
相続した山は売れるのか?
相続した山は売却可能ですが、売れるかどうかは山林の条件や買い手の有無によって異なります。
山の売却には、立地条件、アクセスの良さ、土地の用途が影響します。例えば、市街地に近く利用価値が高い山林や、観光業や林業での活用が期待できる土地は、比較的買い手が見つかりやすいでしょう。
一方、交通の便が悪い場所にある山林や管理が行き届いていない土地は、買い手が見つかりにくい傾向があります。
売却を考える際には、不動産会社や森林組合などの専門機関に査定を依頼するのが一般的です。
査定を通じて山の価値を確認し、市場価値がある場合には、不動産サイトや仲介業者を通じて売却活動を開始します。
山の需要は少ないので、売却ができるまでは長期戦になることを覚悟しましょう。不動産会社には次の項目の戦略についても相談してみてください。
山を売ったら税金はどのくらい?
山を売却すると、売却益に対して所得税と住民税がかかります。
具体的には、売却額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額(譲渡所得)に対して税金が発生します。
山林のような不動産を売却した場合、所有期間が5年を超えているかどうかで税率が異なります。5年以下の場合、短期譲渡所得として約39%、5年を超えると長期譲渡所得として約20%の税率が適用されます。
また、山林を売却した際には「山林所得」という特別な所得扱いになる場合もあり、税額の計算方法が異なる点に注意が必要です。
税額は売却益や所有期間によって大きく異なるため、実際に売却を検討する場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。また、山林の取得費や管理費用も税金の計算において控除できる場合があるため、売却前にこれらの費用を正確に把握しておくことが大切です。
いらない山は寄付できるのか?
山の寄付の絶対条件としては、その山に利用価値があるのかどうか?一番の決定打となります。
以下のような場合は、拒否される可能性が高くなります。
- 何かに使えそうな価値を見出せない
- 道が繋がっておらずアクセスが悪い
- 境界が分からない
- まとまっておらず、点々としている
上記にが該当していなければ、寄付できる可能性もあります。どちらにせよ書類関係を準備して、地方自治体や森林組合などに相談してみましょう。
山を寄付したい場合の手続き方法
- 受け入れ先の確認
まず、寄付先として検討できる地方自治体や環境保護団体、森林組合、NPO法人に連絡を取り、山林の寄付が可能かどうか確認します。多くの自治体では管理コストの問題から寄付を受け入れないこともあるため、事前の確認が重要です。 - 書類の準備
寄付のための書類を揃えます。一般的には、土地の「登記簿謄本」や「固定資産評価証明書」、本人確認書類が必要です。これらは、寄付先や手続き内容によって異なる場合もあるため、詳細は受け入れ先に確認します。 - 寄付申請の提出
必要書類を準備したら、寄付の意思を示す申請書を提出します。自治体や団体により書類フォーマットが異なるため、受け入れ先の指示に従って記入します。 - 審査の受け入れ確認
多くの自治体や団体では、寄付された山林が管理可能かどうかを審査します。管理コストや山の状態を確認し、受け入れの可否が判断されます。 - 契約手続きと登記変更
寄付が承認された場合、正式な契約手続きが進められます。登記変更が必要になるため、司法書士への依頼が必要になる場合もあります。この段階で登記費用などが発生することもあるため、費用についても確認しておきましょう。 - 寄付完了と管理責任の移行
登記変更が完了すると、山林の所有権が受け入れ先に移ります。これにより、元の所有者はその山林に対する管理責任から解放されます。
相続した山の活用法を考えてみる
いらない山で何かできないかを考えてみました。しかしこれが出来ないから、いらない山になってしまっているのだと思いますが・・・
- キャンプ場やアウトドア施設の開設
相続した山を利用して、キャンプ場やグランピング施設を作る方法があります。アウトドアブームによりキャンプ施設の需要が増加しているため、収益化の可能性があります。 - 森林保全活動の拠点として提供
自然環境の保全を目的に、NPO法人や自治体に山を提供することも可能です。森林保全活動やエコツーリズムの拠点として利用されることがあり、社会貢献にもつながります。 - 資源の活用(木材の販売やキノコ栽培など)
山林内の樹木を伐採して木材として販売したり、土地を利用してシイタケやマツタケなどのキノコ栽培を行う方法です。自然資源を活かすことで収入を得られる可能性があります。 - 太陽光発電施設の設置
日当たりの良い山であれば、太陽光発電施設を設置する方法もあります。自治体によっては補助金が出る場合もあるため、検討の価値があります。ただし、地形や自然環境の影響を考慮する必要があります。 - トレッキングコースや観光施設の運営
山の地形を活かしてトレッキングコースや観光施設を作ることも考えられます。自然散策を楽しむ人々を対象にすることで、地域活性化や観光収益を見込める場合があります。 - 農園としての活用
山の一部を開拓して果樹園や農園を作り、地域の農産物として提供する方法もあります。地域資源を活用した体験型観光としての価値もあるため、収益化しやすい点がメリットです。
【まとめ】いらない山の相続を避けるべきか?検討するポイント
いらない山の相続は、管理や税負担、家族間のトラブルなど多くの課題が伴います。
相続するか放棄するかの判断には、それぞれのメリット・デメリットを把握し、売却できるのか、寄付できるのか、相続土地の国庫帰属制度が利用できるのか、など様々な選択肢の中から、自身や家族と検討してから、最適な方法を選ぶことが大切です。
私の知人で山を相続して所有している人がいますが、場所は不明で、どうなっているのかも知らない状態で数十年経過いていますが、税金もかかっておらず、特に何も勧告を受けるようなことも起きていない。というパターンもあります。
どちらにせよ、分かる範囲で山の情報を用意して、地元の役所や森林組合などに相談してみることをオススメします。
- 山を相続することで、管理負担や税金のリスクを背負う
- 山の相続しないことで管理負担を免れる
- 相続を放棄すれば固定資産税の負担を避けられる
- 資産価値が低い土地を持たずにリスクを回避できる
- 相続に伴う複雑な手続きを省略できる
- 山の相続放棄するなら山以外の資産も放棄しなければならない
- 山以外も価値のない財産ばかりであれば放棄した方が時間も手間も負担も大幅に省ける
- 他の相続人に負担がかかり、家族内でのトラブルが懸念される
- 利用価値のある山であれば売却や寄付できる可能性が高くなる
- 敷地に電柱があれば収益が得られる可能性がある
- 個人的なレジャー用途での活用が可能
- 適切な管理により生態系保全に貢献できる
- 山だけの売却に対応した不動産会社は少ない
- 山以外の住宅地や戸建ての売却相談も一緒にすれば対応してもらいやすい
- 山林の寄付や売却には地域の自治体や森林組合に相談が必要