不動産を売却しようとしている人
「売却依頼している不動産を購入したいと申し込みが入ってきた。いろいろ条件があるらしいけど、何に注意したらいいんだろうか?」
購入の申し込み(買付確約書・買付証明書)は、自分の不動産を買ってくれる人との契約条件を決める大事なタイミングです。
あまり考えずに売却金額だけに注目してOKしてしまうと、後悔することもあるので注意が必要です。時間が掛かってもいいのでじっくり考えて答えを返すようにしましょう。
購入の申込が入ったら確認すること、注意したいことは主に以下があります。
- 物件はいくらで売れるのか
- 諸経費を引くと手元にいくら金額が残るのか
- 値段交渉
- 住宅ローンは完済できるのか
- 引き渡すまでに何をしなければならないのか
- 売買契約はいつするのか
- 引き渡し日はいつなのか
- 引っ越しの段取り
- 家具や家財の処分
この記事では、不動産売却で、購入申込が入ったら確認すべきことや、考えるべきことについて、不動産屋で現役宅建士をしている私が解説します。
購入の申し込みが入った時にトラブルなく進められるようになりましょう。
この記事を書いている私は
亀岡市で生まれ育って35年以上
国家資格の「宅地建物取引士」を所有して、亀岡市の不動産屋にて現役宅建士として勤務中
これまでに何件も不動産売却の相談を受け、売却のお手伝いをしております。
インスタでは土地探しや注文住宅のこと
Xでは日ごろの不動産屋のこと、不動産投資のこと
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>>【亀岡市の宅建士による】不動産(家・土地)の査定から売却までの全体の流れと方法を徹底解説>>
不動産売却で購入の申込(買付確約書・買付証明書)が入った時に確認すべきこと
買主からの購入の申込(買付確約書・買付証明書)が入ったら確認すべき項目について解説します。
- 購入希望価格(値段交渉)
- 手付金の額
- 買主の住宅ローン利用の有無
- 契約希望日
- 引渡し希望日
- 引渡し条件の内容
ここで合意した内容で売買契約が進んでいくので、しっかり内容を確認しましょう。
【購入希望価格】買主の物件購入希望価格は?(値段交渉)
まず一番大事なところは、買主は自分の不動産をいくらで購入したいのかです。
買主はできるだけ安く買いたいと思っているので、高確率で値引き交渉が入ります。値引きの交渉の金額も買主の都合により異なります。
最終的に売却時にかかる費用を引いて、自分の手元にいくら金額が残るのかで判断するようにしましょう。
時には自分が思ってもいないような値引き交渉が入る場合もあります。冷静に考えて返事を返しましょう。
不動産売却時にかかる費用を確認する
売却している物件が土地なのか、家なのか、家でも空き家なのか住んでいるのかによっても考えたいことは変わってきます。
不動産を売却する時にかかる費用については以下のようなものがあります。(黄色下線は必ず必要です)
- 売り渡し書類作成費用(司法書士への費用)
- 仲介手数料(不動産会社への費用)
- 契約書貼付用の収入印紙代
- 家具や荷物などの処分費用(処分を依頼する場合)
- 住宅ローン繰り上げ返済手数料(金融機関への費用)
- 建物解体費用(建物の解体をする場合)
- 確定測量・境界確定・地積更正費用(土地の測量をする場合)
- 相続登記費用(相続登記が必要な場合)
◆物件価格1000万円で売買契約をした場合にかかる経費は以下の表のとおり
仲介手数料 | 363,000円 |
売渡書類作成費用(物件により上下) | 約50,000円 |
収入印紙 | 10,000円 |
合計 | 423,000円 |
物件価格10,000,000円-経費423,000万円=手元に残る金額9,568,000円
つまり、1000万円の買付確約書で売買契約を進めた場合、手元にはおおよそ9,568,000円残る。ということになります。
家具や荷物の撤去費用や、建物解体費用が必要な場合など、契約の条件により手元に残る金額は変わってくるので、しっかり確認しましょう。
購入希望金額から諸経費を引いて、手元にお金がいくら残るのか把握することが大事!
住宅ローンが残っている場合は完済できるか確認する
住宅ローンが残っている場合は、購入申込金額から売却にかかる費用を引いた金額でローンを返済できるのか確認する必要があります。
ローンを完済して抵当権を抹消しなければ、買主へ所有権移転することはできません。
上記のイラストのように、購入希望金額から経費を引いた金額で、住宅ローンを完済できるの確認しましょう。
ローンが返せないと売れません!売却活動中はどれぐらいローンが残っているのかは把握しておきましょう
希望金額が低いと感じた場合は、値上がりができないか確認する(値段交渉)
上記イラストのように、2000万円の物件に1500万円の購入申込みが入った時に、自分の許容できる金額を考えます。
最低1700万円は手元に残したいと考えた場合、諸経費のことを考えると1780万円にしなければ、手元に1700万円残りません。
この場合は、買主に1800万円で購入できないか確認するようにしましょう。
買主は、できるだけ安く買いたいという希望があるので、自分の予算より多めに値引き交渉をしてきている場合があります。
相場と明らかに離れた金額での交渉がきた時は、不動産会社の担当者と相談して断るか、値上がりを伝えるか決めましょう。
売主と買主で金額のキャッチボールをして、お互いの納得のいく金額で売買契約は進みます。
【手付金の額】頭金をいくら払ってもらえるのか
購入条件が整ったら売買契約を行います。その際に手付金(頭金)を受け取ります。
手付金の額は、売買価格の1割~2割が一般的ですが、最近は買主が自己資金なしのフルローンで不動産を買うことが多く、手付金の額が売買代金の1割を下回る場合もあります。
受け取った手付金は基本的には売買が完了するまで残しておく物ですが、家具や荷物の撤去は手付金を使わなければ引っ越しできない。という場合は、特に手付金の額を確認しましょう。
最悪の場合、手付金は返さなければならない可能性もあるので、できるだけ使わずに保管しておきましょう。
【契約希望日】契約締結は早めに済ませるべき
購入条件が整ったら次は売買契約を行います。基本的には売主と買主が顔を合わせて契約内容の確認するので、お互いに集まれる日を決めます。
契約条件が整ったら契約は早めにするべきです。
申込書が入ったとしても拘束力がないので、やっぱり買うの辞めます。と言われると違約金など何も発生せず無かったことにすることもできます。なので、買主の気が変わったりする前に速やかに売買契約を交わし、気軽に辞めることができない状態にしましょう。
お正月休みやお盆休みなど長期休暇を挟むと、買主の気が変わって買うの辞めます。と言い出すこともあるので、契約は早めに済ませましょう。
お互いに日が合わない場合
お互いに契約日が合わせられない場合は、それぞれ別日に契約書を確認する持ち回りで契約を行うこともあります。
この場合、最終日まで買主と顔を合わせることがないかもしれません。
【買主の住宅ローン利用の有無】ローンの本審査が完了するまで確定ではない
買主が不動産を購入するためにローンを組むのかどうかも重要です。
融資を受けず、現金で物件を購入するのであれば、契約が白紙になる可能性が低くなるので安心できます。
しかし、ローンを組んで物件を購入する場合、金融機関からお金を借りることができなければ、買主は物件を買うことができないので、白紙解約になる場合もあります。ローンで物件を購入する場合は、融資利用の特約付きの売買契約となります。
融資利用の特約とは
買主が金融機関から融資を受けることができなかった場合に白紙解約となります。
白紙解約の場合は契約時に受け取った手付金も全額返すこととなります。
〇〇月〇〇日までに融資の承認を得る。という期限のついた契約となります。
買主が土地を買って、新築を建てる場合は、新築する建物の間取り図面など計画を完成させて、金額なども細かく判明した状態でないと、ローンの本審査ができません。融資が受けられるか判明するには、契約から数ヶ月かかります。
契約ができたら安心でもなく、買主の融資の承認が出るまでは白紙になる可能性がある
【引渡し希望日】売買代金を全額受け取って所有権を移転する日
買主はいつまでに物件を引渡してほしいのか希望がある場合があります。
申込書の時点では〇月〇日という明確な日まで指定されることは少ないと思いますが、希望されている引き渡し時期に問題がないか確認しましょう。
- 物件に住んでいる場合は、それまでに引っ越しは可能か
- 空き家でも家具や荷物が残っている物件であれば、それまでに処分は可能か
- 建物の解体後の引き渡しの場合は、それまでに建物解体は可能か
- 相続登記などがまだの場合は、それまにで可能か
私の経験では、8月のお盆月は古来からの言い伝えで、何もしてはいけないと言われているので取引できません。とか、1ヶ月間ハワイに旅行しているので取引できません。とか色々な理由で取引できないパターンがありました。
さまざまな都合があると思いますので、引き渡し希望月に何か不都合はないか確認しておきましょう
【引渡し希望条件の内容】引渡し日までにクリアしなければならない条件
買主の状況によってさまざまな希望条件が提示されます。
特に自分にとって不利な条件がないか確認しましょう。
買主の希望条件は引渡しまでに自分がしなければならない内容となります。条件を達成するために上記のイラストのように費用が必要となることもあるので、条件の確認は費用も含めて必ず行いましょう。
よくある引き渡し希望条件の例
- 家具などの動産類を撤去して引渡し
- 希望する家具は残してほしい
- 壊れている設備を修理してほしい
- 建物を解体して引渡し
- 確定測量・境界確定・地積更正をしてからの引渡し
- 引渡し猶予期間を経てからの引渡し
確定測量・境界確定・地積更正に関しては、費用がかかるのと同時に期間もかかります。売り急ぐ場合や、費用に余裕がない場合はしっかり検討する必要があります。
希望条件を達成するために、費用が必要な場合は、費用分を物件の売買価格から値引きするなどして取引をする場合もあります。
状況によってさまざまな希望条件が発生します。費用が必要になる場合もあるのでしっかり確認しましょう!
家具などの動産類を撤去して引渡し
相続した物件などは、家具や家財道具などが残っている場合があります。
多くの場合で家具や家財道具の処分は売主がやることが一般的ですが、条件によっては売買価格を値引きして買主が撤去する場合もあります。
買主希望で残してほしい物がある時もある
買主によってはエアコンや収納タンスなど、できれば残してほしいという希望がでる場合があります。
処分をする予定であれば問題がなければ残してあげましょう。
契約後に再度、宅内を見て残してほしい物に印をつけることもあります。
買付証明書の返事する期間
申込(買付証明書・確約書)が入ってから、返事をするまでの期間ですが、書面に有効期限の記載が無ければ、期限は無いと考えていいですが、一般的には1~2週間以内に返事することが望ましいです。
じっくり考えてから返事することをオススメしますが、遅すぎるデメリットもあります。
申込後に買主の気が変わる場合がある
あまりにも返事が遅すぎると、その間に他に気になる物件が出てきたりして、買主の気が変わる場合があります。
購入の申込をした時点では、法的な拘束力はありません。こちらが返事する前に、買主から「やっぱり辞めます」と言われても、罰則の決まりはありません。
返事するのに数週間かかのであればば、申し込みをもらった時点で、日数がかかることを伝えておきましょう。
あえて返事を遅らせることもある
申込書を見て、問題の無い条件だったとしても、あえて返事を遅らせる場合もあります。
例えば、300万円までの値引きを許容していた時に、200万円の値引き交渉が入った場合、金額的に問題無いのですぐに進めてもいいのですが、あえて直ぐに返事をせず、少し焦らしてから返事をする。という場合があります。
焦らすことで「すごく考えてます感」を買主に感じさせ、「考えた後に200万円値引きしたあげた」という恩を売ることで、買主より優位に立って契約を進めることができます。
しかしこの方法を使う場合は、仲介の不動産会社の担当とよく相談してからやりましょう。
買付証明書には法的効力はない
申込書(買付確約書・証明書)はあくまで、買主の不動産購入の意思表示と、購入条件を交渉するために作成するもので、正式な売買契約とは異なり、法的な拘束力はありません。
しかし、民法では諾成契約(当事者の合意の意思表示のみで成立する契約です)というものがあり、売買契約を結ばなかったとしても、お互いに「買います」「売ります」と言ってしまうと契約が成立している。と解釈されることもあるので、何も考えずに返事を返さず、しっかり考えてから返事するようにしましょう。
不動産売却で購入申し込みが入った時に考えるべきこと
いざ申し込みが入った時に次の段階に進むために考えておきたいことです。
- 繰り上げ返済・抵当権の抹消手続き(住宅ローン完済)
- 物件に居住している場合は引っ越しの段取
- 相続登記がまだの場合はその手続き
引き渡し希望日までに上記の事項が可能なのかどうか確認しましょう。
繰り上げ返済・抵当権の抹消手続き(住宅ローン完済)
住宅ローンがある場合は、引渡し時までに繰り上げ返済の手続きと、抵当権の抹消の手続が必要です。
融資を受けている金融機関に連絡をして、不動産を売って繰り上げ返済を行う旨を伝えましょう。金融機関によっては繰り上げ返済に手数料が必要となります。
直前すぎると時間が間に合わない場合があるので、契約が決まったら速やかに金融機関と相談をしましょう。
物件に居住している場合は引っ越しの段取
物件に住んでいる場合は、引越しの段取が必要です。
次の行先が決まっていれば、引っ越すだけですが、決まっていない場合は早急に引っ越し先を決める段取りをしなければなりません。
不動産を売却して、そのお金で次の引っ越し先を購入しようと考えている場合は、売る方と買う方の条件を合わせて契約する必要があります。不動産会社の担当者ともよく相談して進めるように注意しましょう。
何も決まっていなければ大変です。申込が入った段階で引っ越し先の目途と、いつまでに引っ越しするのか、ある程度目途をたてて動きはじめなければなりません。
相続登記がまだの場合はその手続き
不動産の所有者が亡くなってから、相続の手続きをしていない場合は手続きを進めなければなりません。
場合によっては書類を集めるのにかなり時間が掛かってしまうことがあります。
契約することが決まったら、司法書士となどと相談して速やかに相続手続きを進めましょう。
本当は売却活動をする前か、売却活動をしながら相続登記は完了させておきたい。
購入の申込が入ったらすぐに返事せずに、じっくり考えてから返事をしよう
買主が急いでいなければ、買付確約書の返事する期間は決まっていません。すぐに返事をせずにじっくり考えてから返事をするようにしましょう。
改めて、購入の申し込みが入ったら考えることは以下です。
- 物件はいくらで売れるのか
- 諸経費を引くと手元にいくら金額が残るのか
- もう少し金額を上げてもらえないのか
- 住宅ローンは完済できるのか
- 引き渡すまでに何をしなければならないのか
- 売買契約はいつするのか
- 引き渡し日はいつなのか
- 引っ越しの段取り
- 家具や家財の処分
などなど
値段交渉や、条件交渉は一度承諾の返事をしてしまうと、後から変更することが難しくなってしまいます。難しい条件があると後々後悔することもあるので、しっかり検討しましょう。
申込が入ったらすぐに返事はせずに内容をよく確認して、考えてから返事をするようにしましょう!
亀岡市の不動産 査定・売却承ります。
この記事を書いている私は亀岡市の不動産屋で勤務しており、不動産取引は何度も経験しています。
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