土地取引状況調査票を出さない人
「土地取引状況調査票が届いたけど、出さないとダメなの?無視したらどうなるの?」
土地を購入した後に「土地取引状況調査票」が突然届いて戸惑う方も多いのではないでしょうか?私の所にも届きました。
この調査票はどこからなぜ届くのか?また、出さない場合に影響があるのか、と気になる点が多いはずです。
土地取引状況調査票は出す義務はなく完全に任意です。出さないことで新たにハガキでの催促が届く場合もありますが、無視したとしてもペナルティは発生しません。
しかし、出さないことで適正な地価評価に貢献できなかったり、土地の評価が正確にできなければ、今後の固定資産税や相続税に影響が出る可能性も少なからずあるので、時間があれば協力することをオススメします。
アンケートの結果は「土地総合情報システムの不動産情報ライブラリ」を通して公表され、これから不動産を購入しようとする人が参考にできるようになっています。
この記事では、土地取引状況調査票を出さない場合のメリットやデメリット、さらに調査票の記入方法や回答しない場合の影響についても解説します。
不動産取引後に送られてくるこの調査票に関して、疑問をすっきり解決しましょう。
この記事のポイント
- 土地取引状況調査票がどこからなぜ届くのか理解できる
- 土地取引状況調査票を出さない場合のメリットとデメリットがわかる
- 調査票を出さないことで税金などにどう影響するか理解できる
- 土地取引状況調査票の記入方法と回答方法がわかる
土地取引状況調査票とは?出さないとどなる?
土地取引状況調査票とは何なのか?出さないとどなるのか、さまざまな視点で以下の点で解説します。
- 土地取引状況調査票はどこからなぜ届くのか?
- 何が届くの?
- 土地取引状況調査票の目的は4つ
- 土地調査のアンケートに回答する義務はあるか?
- 土地調査をしないとどうなる?
- 不動産取引アンケートの回答率は?
- 国土交通省のアンケートに回答するといくら謝礼がもらえますか?
- 不動産取引アンケートの催促とは?
- アンケートに回答すると影響する税金は?
- 不動産取得に関する申告との違いに注意
- 無くした場合の再発行はできるの?
土地取引状況調査票はどこからなぜ届くのか?
土地取引状況調査票は、土地やマンションなどの取引後に、購入者のもとに国土交通省の委託機関である「土地鑑定委員会」から届きます。
不動産の取引価格や土地の詳細な状況を調査するためのアンケート調査票で、登記情報から土地の取引があったことを確認し、該当する購入者へと送られているものです。
土地取引状況調査票が届く目的は、公示地価や基準地価といった全国的な土地価格を算出するためのデータ収集にあります。収集した情報は、不動産取引の透明性向上や適正な市場形成の基礎資料となり、相続税や固定資産税の算定にも影響を与える可能性がある重要なものです。
アンケートの結果は「土地総合情報システムの不動産情報ライブラリ」を通して公表され、これから不動産を購入しようとする人が参考にできるようになっています。
このように土地取引状況調査票は、不動産市場や税制にも関わる幅広い情報基盤の一環として役立っているため、該当者に随時送付されているのです。
何が届くの?
封書には以下の物が入っています。
- 不動産取引アンケート調査ご協力のお願い
- アンケート調査の実施及び情報の取り扱いについて
- 土地取引状況調査票(アンケート用紙)
- 土地取引状況調査票の記入例
- 取引価格情報提供制度についてのチラシ(時期によって内容が違う)
- 返信用封筒
私は2度不動産を買う機会があり、数年空けて2回受け取りましたが、違うのはチラシの内容だけでした。
土地取引状況調査票の目的は4つ
土地取引状況調査票の目的は4つあります。
- 公示地価の判定
- 基準地価の判定
- 不動産取引価格情報の提供
- その他、公共用地の取得に伴う損失補償額算定及び適正な地価の形成に寄与する調査・研究のための貴重な資料としての活用
公示地価の判定
国土交通省土は、地価公示法に基づき、一般の土地取引の際の指標や公共用地の取得価格の算定の規準などとするため、全国の標準値における毎年1月1日時点の正常な価格を公表しています。
基準地価の判定
都道府県知事は、国土利用計画法に基づき、適正な地価形成に資することを目的とし、基準地における毎年7月1日時点の正常な価格を公表してます。
不動産取引価格情報の提供
国土交通省では、実際に行われた取引の価格を、ご回答者の氏名、会社名などは削除し、物件の詳しい所在・面積をかわらないようにしてホームページ(土地総合情報システムの不動産情報ライブラリ)で公表します。
土地調査のアンケートに回答する義務はあるか?
土地取引状況調査票に対する回答は、法律上の義務ではありません。
そのため、回答しなかったとしても罰則やペナルティは発生しません。しかし、このアンケートは国が不動産市場の透明性や適正な価格判定を目的としていることから、回答協力の呼びかけがされています。
ぶっちゃけ、私は回答するの忘れていました・・・が特に何も不利になったことはありません。
土地調査をしないとどうなる?
土地取引状況調査票を通して集められるデータは、公示地価や基準地価の判定に使われます。
これにより、土地の適正価格の基準が示され、税額計算や不動産市場の透明化に役立っています。
そのため、回答が少ないと土地の価格評価が不正確になる恐れがあり、最終的に固定資産税や相続税などの税額に影響することも考えられます。
また、他の購入者が取引価格を把握しにくくなることで、不動産市場全体の情報精度が低下する可能性もあります。
このような理由から、土地の購入者は調査に協力することで、適正価格の算定に貢献し、自分や他の購入者が利用できる正確な市場情報の充実に寄与することが推奨されています。
回答をもとに今後の不動産価格の参考にされていきます。
不動産取引アンケートの回答率は?
不動産取引アンケートの回答率は約30%ほどとされています。
これは、アンケートが任意であり、罰則がないことから、全員が回答するわけではないためです。この回答率について国土交通省も「おおむね問題ない」としていますが、理想としてはより多くの回答を得て、土地価格の精度向上に寄与したいと考えています。
国土交通省のアンケートに回答するといくら謝礼がもらえますか?
国土交通省の不動産取引アンケートに回答しても、直接的な謝礼や金銭的な報酬は支払われません。
具体的な報酬はありませんが、地価が適正に評価されることで、自分の土地の市場価値が明確になり、将来的な売却や相続税、固定資産税の見通しが得られるなどの間接的なメリットが期待されます。
不動産取引アンケートの催促とは?
不動産取引アンケートは任意の調査ですが、回答を行わない場合には催促の通知が再度届くことがあります。
最初のアンケート送付から2週間程度を目安に回答が確認されており、未回答の場合には催促として葉書などが送られることが一般的です。これは、土地の適正な価格評価に必要な情報を集めるため、できる限り多くの協力を得るための手段です。
この催促はあくまで回答の協力をお願いするものであり、無視したとしても罰則が課せられるわけではありません。
アンケートに回答すると影響する税金は?
不動産取引アンケートに回答することで直接的に影響する税金はありません。ただし「不動産取得に関する申告」との違いに注意です。
このアンケートに回答した内容が直接的に税務署などへ送られることはなく、個人の取引情報が税額計算に用いられることはありません。国土交通省が個人情報を特定できない形で情報を集約し、不動産市場の透明性や公平性を保つための地価評価に役立てています。そのため、回答することで税金が即時増減するわけではありませんが、将来的な適正な価格設定に役立つ可能性があります。
不動産取得に関する申告との違いに注意
「不動産取引アンケート」と、「不動産取得に伴う申告」は混同しやすいですが、役割や義務が異なる点に注意が必要です。
不動産取得に関する申告とは、土地や建物を購入した際に地方自治体に対して行う「不動産取得税」の申告であり、これは税金の申告として法的な義務があります。
不動産を取得した場合、自治体から納税通知が届き、指示に従って税額を納める必要があります。
この不動産に関する申告を提出しない場合、本来支払う必要のない税金が発生する場合もあるので、これは必ず提出するようにしましょう。
一方、今回取り上げている、土地取引状況調査票の不動産取引アンケートは、土地取引の実情把握を目的とする国土交通省の任意調査であり、回答は義務ではありません。
全然違う物ですが、なんとなく似ているので、間違えないように注意しましょう。
無くした場合の再発行はできるの?
土地取引状況調査票の再発行は可能です。
お問い合わせ専用電話(電話:03-5777-4335)までお問い合わせください。
土地取引状況調査票を出さないメリットと記入例
土地取引状況調査票を出さないメリットやデメリットから、出す場合の記入方法について解説います。
- 土地取引状況調査票を出さないメリット
- 土地取引状況調査票を出さないデメリット
- 記入前に用意する物
- アンケートの回答方法は2つある
- オンラインでのウェブ回答も可能
- 土地取引状況調査票の記入例
- アンケートが公示地価に与える役割
土地取引状況調査票を出さないメリット
- 時間と手間を省ける
調査票は取引価格や物件の情報を詳しく記入する必要があり、売買契約書や重要事項説明書を確認しながら書く手間がかかります。出さなければ、作業を省略でき、忙しい方にとっては負担を軽減できます。 - 情報提供に対する不安を避けられる
調査票では、取引価格や土地の詳細情報を提供する必要があるため、プライバシーや情報漏洩が心配な方もいます。出さないことで、情報が第三者に渡るリスクを完全に回避することができます。 - 催促や追加の問い合わせを防げる
調査票を提出すると、情報の確認や追記を求められる場合があります。提出しないことで、追加の確認や問い合わせが発生する可能性を避けることができます。 - 法律上のペナルティがない
調査票の提出は義務ではなく任意であり、出さないからといって罰金や罰則が課せられることはありません。そのため、出さなくても個人に不利益が生じないのがメリットです。
土地取引状況調査票を出さないデメリット
- 適正な地価評価に貢献できない
調査票のデータは公示地価や基準地価を算定する際に使われ、不動産市場の透明性と信頼性を支える基礎データになります。提出しないことで、土地価格の適正な評価や市場の健全性に貢献する機会を失います。 - 固定資産税や相続税に影響が出る可能性
公示地価は固定資産税や相続税の評価基準に影響します。提出数が少ないと、地価の正確な評価が難しくなり、最終的には適切な税額算定が難しくなる恐れがあります。提出することで将来の適正な税額に寄与できる可能性があります。 - 不動産市場の情報精度が低下する
調査票のデータは他の購入者や売却者が参考にする不動産取引価格の基準として公表されます。提出が少ないと正確な取引相場が把握しにくくなり、市場全体の情報の精度が低下することにつながります。 - 再度の催促を受ける可能性
調査票を出さない場合、後日、催促状が再度送られてくることがあります。これにより追加の対応が必要になり、かえって手間がかかる可能性があるため、早めの対応が推奨されます。 - 公共事業などの適正価格の算定に影響
調査票のデータは公共用地取得の価格基準にも利用されています。回答が少ないと公共事業における適正価格の算定が難しくなり、社会全体の利益に影響を及ぼす可能性があります。
記入前に用意する物
- 売買契約書
契約日や取引価格、土地や建物の詳細が記載されており、アンケートの主要項目を埋めるのに必要です。 - 重要事項説明書
土地の地積や私道の有無など、土地の詳細情報が記載されているため、確認が必要です。 - 住居表示や登記簿の地番情報(必要な場合)
土地の正確な住所や地番を記入するために、法務局の登記簿謄本や購入時に受け取った資料を準備しておきましょう。 - 仮換地番号(必要な場合)
区画整理地内の土地では仮換地番号の記入が求められるため、対象者はあらかじめ確認が必要です。
アンケートの回答方法は2つある
2つの回答方法
- 土地取引状況調査票の返送
- オンラインでウェブ回答
アンケートの回答方法は、この土地取引状況調査票を返送する以外に、オンライン上でウェブ回答するとこも可能です。
オンラインでのウェブ回答も可能
土地取引状況調査票の左下に記入されている、「調査票番号」とパスワードを入力して回答に進めます。
ただし、アンケートの発送から1~2ヶ月経過してしまうと、ウェブ回答ができなくなるので注意です。
土地取引状況調査票の記入例
記入項目
- 氏名・又は法人名
- 住居表示・仮換地番号
- 契約年月日
- 取引内容
- 取引価格
- 実測面積
- 建築年次
- 延床面積
- 取引に当たっての状況等
- 地代
- 借地開始時期
- 今後の主な利用目的
- 感想・事情など
同封されている記入例を見ながらやればそう難しないと思います。
住居表示とは何?
住居表示とは、土地や建物の所在地をわかりやすく示すために、行政が定めた住所の表記方法です。市街地で地番が複雑な場所では、住居表示が取り入れられている場合があります。
住居表示の実施地域でなければ、記入する必要はありません。
住居表示は、土地購入時の売買契約書・重要事項説明書、地域を管轄している役所で確認することが可能です。
仮換地番号とは何?
仮換地とは、土地区画整理事業内の土地に仮に与えられている住所です。
土地区画整理地の土地でなければ、記入する必要はありません。
仮換地番号は、土地購入時の売買契約書・重要事項説明書み確認するか、区画整理事業組合で確認することが可能です。
契約年月日の記入方法について
契約年月日は、土地と建物を一緒に購入したのであればその契約日です。
土地を先に買って、後から建物を建てたのであれば、土地を買った日を記入しましょう。
購入時の売買契約書で確認が可能です。
実測面積と他に私道とは?
購入前に、土地が測量されており、土地取引状況調査票の上部に記入されている、登記上地積と面積が違うのであれば記入します。
特に測量されておらず、上部の登記上地積と面積が同じであれば記入する必要がありません。
重要事項説明書や売買契約書で確認することが可能です。
- 「実測面積」とは、測量士などが、境界確定を経て測量した面積
- 「公簿面積」とは登記簿に記載されている土地面積
他に私道とは、購入した宅地以外に前面道路にも持ち分がある場合か、敷地の一部を道路として負担している場合などに記入します。
重要事項説明書や売買契約書で確認することが可能です。
建築年次と延べ床面積とは?
建築年次は、購入した建物の新築年月日を記入します。
延床面積は、建物の1階・2階・3階の面積の合計を記入します。
重要事項説明書や売買契約書で確認することが可能です。
先に土地を購入して、建物は建築中で面積がはっきりしていなければ記入しなくても大丈夫です。
取引に当たっての状況等はどうする?
この項目は、今後の利用目的を記入します。複数回答が可能なので当てはまる項目に〇をしましょう。
古家付きの土地を購入して、建物を解体して、新たに新築を建築するのであれば、「解体予定の古家つきで購入した」と「自己利用目的で購入した」です。
自分の住む家として購入したのであれば、「自己利用目的で購入した」です。
店舗やお店として利用する場合・貸家として他人に賃貸しようと思っている場合は、「収益物件として購入した」です。
今後の主な利用目的は?
以下の利用目的に当てはまる物に〇をします。
- 住宅
- 店舗
- 事務所
- 工場
- 倉庫
- その他
アンケートが公示地価に与える役割
土地の適正価格を反映する基準データの提供
アンケートで集められた取引価格は、公示地価の算出基準となり、土地の適正価格を反映させるためのデータとして活用されます。
>>土地総合情報システムの不動産情報ライブラリ
不動産市場の透明性向上
実際の取引価格に基づいて公示地価が設定されるため、不動産市場の透明性が増し、購入者や売却者が適正な取引を行いやすくなります。
固定資産税や相続税の公平な評価に貢献
公示地価は、固定資産税や相続税の評価額の基準となるため、アンケートを通じて集めたデータが税制の公平性を支える役割を果たします。
地域ごとの土地価格の均衡化
各地域の取引価格データを基に公示地価が設定されることで、地域差を考慮した価格設定が可能になり、地価の均衡化に寄与します。
公共用地取得の価格算定に活用
公示地価は公共用地の取得価格の基準としても利用され、公共事業などで適正な価格で用地を取得するために役立っています。
市場の安定と信頼性の確保
正確な取引価格情報に基づいた公示地価が示されることで、不動産市場全体の安定と信頼性が確保され、長期的な投資や資産計画に活用されます。
【まとめ】結局、土地取引状況調査票は出さないでOKなの?
土地取引状況調査票は、全国的な土地価格を算出するためのデータ収集のために、国土交通省から届きます。
土地取引状況調査票は、出す義務はなく完全に任意です。出さないことで新たにハガキでの催促が届く場合もありますが、無視したとしてもペナルティは発生しません。
アンケートの結果は「土地総合情報システムの不動産情報ライブラリ」を通して公表され、これから不動産を購入しようとする人が参考にできるようになっています。
今後の不動産価格の正常化のために、アンケートに協力されてはいかがでしょうか?私も今更ですが出そうと思います!!
- 土地取引状況調査票は国土交通省からの任意のアンケートである
- 回答しなくても法的なペナルティはない
- アンケートは公示地価や基準地価の算定に活用される
- 回答が少ないと土地の適正な価格評価が難しくなる
- 市場の透明性を高めるデータの一部として使われる
- 回答すると他の購入者が取引価格を参考にしやすくなる
- 固定資産税や相続税の評価に間接的に影響することがある
- 公共事業の用地取得価格の基準にも活用される
- 再回答を求める催促状が送られてくる場合がある
- 提出しないと追加の問い合わせを防げる場合もある
- 個人情報は特定できない形で集約されるため安全性が高い
- 土地価格の適正化に貢献できる社会的意義がある
- 回答は郵送またはオンラインで簡単に行える
- 回答内容は税務署に直接影響を与えるものではない
- 調査結果は土地総合情報システムで一般に公開される