
新築に地震保険はいらないのか悩む人
「費用を抑えたい!耐震に強い新築は地震保険はいらないよね?」
こんにちは。宅建士のMAXXです。
最近の新築は建売でも耐震等級の取得が当たり前で、耐震性能を高めている家が多く出ています。
家を買うのに少しでも費用を抑えたい。と考えた時に耐震性能の高い家を買ったんだから、地震保険はいらないんじゃないか?という考えにいたった方もいらっしゃると思います。
私の結論としては、「新築であっても地震保険は加入した方がいい」です。もちろん私も加入してます。
地震保険は、新築の場合かなり金額低めで加入することができます。プラスして年末調整で控除を受けることできるので、現金で返ってきます。
また、地震が原因で火事が発生した場合は火災保険の適用はできません。しかし地震保険であれば適用可能です。
他にも、地震でせっかく買ったお気に入りの家具が倒れてダメになったり、テレビやパソコン、お皿やコップなど、新たに買いなおす場合、地震保険に加入する以上のお金が必要になってしまいます。
もちろん地震が発生しなかったり、地震が発生しても何も被害がなければ地震保険は無駄になります。しかし地震はいつ起きるか誰にも読めませんし、被害がなくても保険料は安心料。
もしもの時にすぐ生活を立て直すための経済的な支えとして加入しておく価値があると考えます。
この記事では、地震保険の必要性やいらない理由、加入率や割合、保険料の相場や割引条件、補償内容の違い、地震保険控除やデメリットなど整理します。読み終わるころには、あなたの家計とリスクに合う判断がスッとできるはずかなと思います。
この記事のポイント
- 新築でも地震保険が必要かを合理的に判断できる
- 補償内容・支払い基準とコストのバランスがわかる
- 保険料の目安と割引の活かし方を理解できる
- 地震保険のデメリット
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本当に地震保険は新築にいらないのか?

まずは「新築だからいらないのでは?」というよくある疑問をほどきつつ、制度の狙いと新築住宅の耐震性の関係を整理します。データと現場感の両方から、コスパの誤解を解消していきます。
地震保険の必要性をデータで解説
地震保険は、住まいの完全再建費用を満額で賄う保険ではありません。
目的はあくまで、被災直後の生活を立て直すための経済的セーフティネットを用意することです。
ここを勘違いすると「新築で壊れにくい=いらない」という短絡に陥りがちです。実務では、倒壊を免れても外壁や内装、配管、設備の損傷が積み上がると数十万〜数百万円の修繕費になることは珍しくないですし、家具や家電、住めない期間の仮住まい費や引っ越し・片付け費用など、現金が必要なタイミングは一気にやってきます。
現金クッションとしての保険金が早めに入るメリットは家計を守るうえでかなり大きいです。
支払は実損精算ではなく、被害の認定(全損・大半損・小半損・一部損)に応じた定額割合で行われます。
たとえば建物に1,000万円の地震保険をかけていれば、全損は100%、大半損は60%、小半損は30%、一部損は5%が支払われるイメージ。
新築でも地震・津波・噴火はゼロにはできない以上、この定額支払で当座資金を確保できるかどうかが、復旧の初速を分けます。制度の骨子は公的な再保険スキームに支えられていて、巨大地震時でも支払を安定させる設計になっています(出典:財務省「地震保険制度の概要」)
「新築=安全」は半分正解、半分誤解
現行基準の新築は確かに強いです。
ただし耐震基準は人命を守るために倒壊を防ぐことが主眼で、無傷を保証するものではありません。
揺れにより家具や家電が壊れたり、お皿やコップが割れたり、外壁の一部が外れたりすることはザラにあります。
地盤や揺れの方向、津波・延焼・液状化などの二次災害まで含めると、被害パターンは幅広い。だからこそハード(構造)×ソフト(保険)の両輪が合理的、というのが私の結論です。
地震保険がいらない理由と反論

現場でよく聞くのは「新築で耐震だから壊れない」「保険金が少ない」「周りが入っていないから様子見で」という三点セットです。気持ちはわかります。ここに、私が日々の相談で伝えている反論と代替視点をまとめます。
1. 「壊れないからいらない」への代替視点
壊れにくいのはその通り。ただ部分損の修繕費は現実的な負担です。
外壁のひびや基礎の補修、屋根材の浮き、設備の破損、室内の造作復旧など、ひとつひとつは軽微でも合算すると家計には重い。
さらに、家具や家電、お皿やコップ・住めない期間の仮住まい費や荷物保管費、引っ越しの出入り都度費用など、現金が必要な局面は山ほどあります。保険金がここを素早く埋めるメリットは大きいです。
2. 「保険金が少ないからコスパ悪い」への代替視点
地震保険は定額割合で、確かに一部損は少額に映ります。
ただ、被災直後に必要なのは大金ではなくタイミングの良いキャッシュ。見積もり確定を待たずに、当面の生活費・仮住まい費・買い替え費に回せるのは実務上かなり効きます。加えて新築は割引が効きやすく、掛け金を抑えやすい点も忘れずに。
3. 「周りが入っていない」への代替視点
加入の有無は各家庭のリスク許容と家計耐性の話。ローンの残債が多い初期は、現金クッションの有無が二重ローンを避ける鍵になります。周りの判断に合わせるより、あなたの家計と立地・構造で淡々と計算した方が合理的ですよ。
「公的支援で足りる」は危険です。支援金は上限があり、住まいの再建に必要な総額とは桁感が違うケースが大半です。制度の細部は自治体・国の公式情報を確認しながら最終的な判断は専門家にご相談ください。
火災保険と地震保険はあらかじめ予算に組み込むべき

家を建てるとき、つい建築費やローン返済ばかりに意識が向きがちですが、火災保険と地震保険の費用は「後から考える」では遅いです。
実際、住宅ローンの返済が始まってから追加の保険料を確保しようとすると、家計の負担感が想像以上に大きくなることがあります。保険はあくまで「万一の備え」ですが、その万一がいつ訪れるかは誰にもわかりません。だからこそ、家を建てる時点で最初からライフプランの一部として計画に組み込むのが現実的です。
予算化のタイミングは「建築計画と同時」が理想です。火災保険は引き渡し日、地震保険は火災保険とセットで申し込みが一般的なので、設計段階から見積もりに反映しておくことで、後からの調整が不要になります。
家計の予算を組む際には「家を守るための維持費」も必ず計上しておきましょう。建築費だけでなく、保険やメンテナンス費を含めた全体像を見ておくと、後悔のない住宅計画になります。
地震保険の加入率と割合の推移
日本損害保険協会の「地震保険の契約件数・世帯加入率・付帯率の推移」
大地震の経験地域では一気に加入が進むのが典型パターン。これは「実際に役立った」「次は備える」という生活者の実感値がダイレクトに反映されるからです。
私の商圏でも、ハザードマップをにらみながら地震・水害の両面で保険設計を見直す方が増えています。
持ち家層では火災+地震がセットの“標準装備化”が静かに進んでいる印象ですね。
加入が進む背景のリアル
- 金融機関の推奨:火災保険は必須、地震は強推奨の流れ
- 被災体験の共有:SNSや近隣の口コミで「役立った」事例が可視化
- 価格の納得感:割引や長期係数を使えば月額換算は意外と軽い
もちろん世帯全体では未加入もまだまだあります。
賃貸で家財のみ未加入の層や、現金比率が高く自己保有の緊急資金でカバーできる層など、事情はさまざま。とはいえ、新築×ローン初期という条件では、保険金の「スピードと確実性」は代替が難しいのも事実です。
地震保険の保険料相場の目安

保険料は建物構造(木造/非木造など)×所在地のリスク区分×保険金額×契約年数で決まります。
ここで新築の強みが活きます。耐震等級や免震などで大きめの割引が取りやすく、RCマンションはもともとの料率が低いので、体感としての負担感はさらに抑えられがちです。長期契約(最長5年)を選べば一括割引係数が効き、年額換算のコスパも良化します。
以下は一般的な感覚値の一例(目安)です。保険会社・契約条件で実額は変わります。
| ケース | 建物条件 | 設定例 | 年額目安 |
|---|---|---|---|
| 木造戸建て | 延床30坪・耐震等級2 | 建物1,200万/家財300万 | 1〜2万円台 |
| 木造戸建て高耐震 | 延床35坪・耐震等級3 | 建物1,500万/家財300万 | 1万円台半ば |
| RCマンション | 60㎡・新耐震/高層 | 家財300万 | 数千円〜1万円台 |
地震保険のかんたんシュミレーション
日本損害保険協会のサイトで、地震保険料のシミュレーションを行うことができます。
気になる方は一度試算してみましょう。
保険料を抑える小ワザ
- 耐震証明の書類はすぐ出せるよう保管(写しを提出)
- 家財は実態に合った金額に(多過ぎ少な過ぎは非効率)
- 長期契約で係数割引を活用
地震保険の割引条件と耐震等級
新築の強みは割引を取りに行けること。
代表例は建築年割引・耐震等級割引・免震建築物割引の三つで、いずれか一つのみ適用(重複不可)です。
特に戸建なら設計段階から等級2以上を狙い、可能なら等級3を目標に。等級3は割引率が大きいうえ、実被害の面でも壁量や接合部、耐力面材などのバランスが良く、地震後の生活継続性に効いてきます。
建築年割引
地震保険の建築年割引については以下です。
| 割引率 | 10% |
| 適用条件 | 1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物 |
| 確認資料 | 建物登記簿、重要事項説明書、建物の売買契約書など |
耐震等級割引
地震保険の耐震等級割引については以下です。
| 割引率:等級1 | 10% |
| 割引率:等級2 | 30% |
| 割引率:等級3 | 50% |
| 適用条件 | 国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級の評価方針」に基づく耐震等級を有している。 |
| 確認資料 | 品確法に基づく登録住宅性能評価機関により作成された書類(耐震等級を証明した書類) 例:フラット35適合証明書・設計住宅性能評価書など |
免震建築物割引
地震保険の免振建築物割引については以下です。
| 割引率 | 50% |
| 適用条件 | 品確法に基づく免震建築物である場合 |
| 確認資料 | 品確法に基づく登録住宅性能評価機関により作成された書類(耐震等級を証明した書類) 例:フラット35適合証明書・設計住宅性能評価書など |
割引を取り切る実務フロー
- 設計段階で等級仕様を確定(構造計算・仕様書で裏付け)
- 引渡し時に住宅性能評価書や免震の適合証明を受領
- 保険手続きで証明書の写しを提出
- 割引は重複不可:最も有利な1つのみ選択
- 書類が出せないと適用されません:保管場所を家族で共有
- 最長5年の長期係数でベース保険料も圧縮
失敗しない火災保険・地震保険の選び方の参考動画
「江口亮介 / TERASS 住まいアカデミー」チャンネルの動画でも地震の保険について解説されています。参考に見てみてください。
>>家を買う人は絶対見て!失敗しない火災保険・地震保険の選び方
地震保険が新築でいらない論点

次に、制度の細部と費用対効果、税制面、デメリットまでをまとめてチェックします。
立地リスクや住宅ローンとの関係も、実情に重ねて解説します。
地震保険の補償内容と対象範囲
対象は居住用建物と生活用動産(家財)です。
地震・津波・噴火、そしてそれらを原因とする火災・損壊・埋没・流失まで広くカバーします。
一方で、門・塀・物置などの付属物、自動車、一定額超の貴金属や現金、有価証券などは対象外。ここを取り違えると「入っていたのに出ない」となりやすいので、どこまでが対象かを最初に腹落ちさせておくのが大切です。
火災保険との役割分担
火災保険は地震が原因の火災を基本的にカバーしません(免責)。
逆に地震保険は、地震起因の火災や津波による浸水・流失を対象とします。
つまり、火災と地震はセットで初めて穴が埋まる設計なんです。新築のタイミングで両輪にしておくのが合理的です。
支払い基準のイメージ
被害認定は、建物なら全損・大半損・小半損・一部損の4段階に分類され、契約金額に定額比率を乗じて支払われます。
「修理見積=支払額」ではないことが最大の注意点。だからこそ、当座資金の確保という観点で評価すると、この制度はとても筋が通っています。
地震保険は新築に必要かの判断

結論から言うと、判断は立地×建物性能×家計耐性の掛け算です。
まずは立地。エリアごとに水害・土砂のリスクが違います。
駅近で便利でも浸水の想定深が高い場所や、河川近接で堤防の条件が効いてくる場所など、実際に住む座標で見ないと精度が出ません。
次に建物性能。耐震等級や仕様、地盤の良し悪し、基礎形式、周辺建物の倒壊・延焼リスクまで含めると、同じ「新築」でも耐性は結構変わります。最後に家計耐性。ローン残債が多い初期ほど、突然の出費に対して現金クッションの重要性が跳ね上がります。
ローン残債が多い初期ほど、経済的耐性が弱いのが一般的。新築こそ保険の効き目が大きい局面です。割引を取りつつ、当座資金の確保ライン(例:数十万〜数百万円)をイメージして設計しましょう。
地震保険の控除と税制優遇
地震保険料は、所得税・住民税で一定額の控除対象になります。年末調整で一部現金が返ってきます。
長期契約(5年など)を一括払いしても、年ごとに按分して申告できるのがポイント。
年末調整や確定申告で控除証明書が必要になるので、紛失しないように保管し、家族とも場所を共有しておくと安心です。控除額は契約内容や年度によって扱いが変わる場合があるため、必ず最新の制度情報を確認してください。
控除を取り逃さないチェックリスト
- 保険会社から届く控除証明書を保管(電子交付の有無も確認)
- 長期契約の場合は按分額に注意(税務ソフト・会計アプリで管理)
- 家財のみ加入でも対象になるケースを確認
地震保険のデメリットも把握
地震保険のデメリットは主に三つです。
第一に定額割合払いであること。被害額の全額が支払われるという訳ではない。
第二に対象外があること(門・塀・自動車、一定額超の貴金属や現金など)。
第三に上限額があること。火災保険の半分の金額でしか加入できない。
なぜ地震保険は火災保険の半分なのか
地震保険の補償金額が火災保険の「半分まで」に設定されているのは、制度そのものが「生活の立て直しを支えるため」に作られているからです。火災保険が「家を元通りに建て直す」ことを目的にしているのに対し、地震保険は「とりあえず暮らしを再開するための最低限の資金」を提供する仕組みなんです。つまり、再建費用の全額ではなく、当座の生活費や仮住まい費などに充てることを想定しています。
たとえば火災保険で2,000万円を設定している場合、地震保険では最大1,000万円までしか加入できません。ただし、これでも建物の再建をすべてカバーするわけではなく、主に応急修理や仮住まい費、家財購入などの初期支援を目的に使う形になります。
このように、地震保険は「全額補償ではない」代わりに、地震発生時に確実に支払われる制度的な安定性を重視しています。支払限度をあえて低くすることで、保険制度全体が長く持続し、全国規模の災害でも被災者全員に一定の補償を届けられるようになっているのです。
(出典:財務省「地震保険制度の概要」)
それでも私が勧める理由
地震保険は、新築の場合かなり金額低めで加入することができます。プラスして年末調整で控除を受けることできるので、現金で返ってきます。
また、地震が原因で火事が発生した場合は火災保険の適用はできません。しかし地震保険であれば適用可能です。
他にも、地震でせっかく買ったお気に入りの家具が倒れてダメになったり、テレビやパソコン、お皿やコップなど、新たに買いなおす場合、地震保険に加入する以上のお金が必要になってしまいます。
もちろん地震が発生しなかったり、地震が発生しても何も被害がなければ地震保険は無駄になります。しかし地震はいつ起きるか誰にも読めませんし、被害がなくても保険料は安心料。
もしもの時にすぐ生活を立て直すための経済的な支えとして加入しておく価値があると考えます。
【まとめ】地震保険は新築でいらないのか結論

私の結論は明確で、地震保険は「できるだけ加入した方がいい」です。
注文住宅に費用を使いすぎて保険加入のタイミングで、もう用意できるお金がない。という方も多いと思いますが、地震保険をケチるのであれば、他で何か削ることはできなかったのかな?とも思います。
もしもの時にすぐ生活を立て直すための経済的な支えとして加入しておく価値があると考えます。できるだけ火災保険とセットで地震保険には加入しましょう。
- 新築でも地震保険はいらないとは言い切れない
- 耐震等級が高くても被害リスクはゼロではない
- 地震保険は生活再建のための資金を支える仕組みである
- 修理費や仮住まい費など現金が必要な場面は多い
- 地震保険の支払いは定額割合方式で全額補償ではない
- 火災保険だけでは地震による火災は補償されない
- 地震保険は火災保険の半額までしか設定できない
- 新築は割引制度が充実しており保険料を抑えやすい
- 地震保険料は税制上の控除対象として優遇されている
- 家を建てる時点で保険料を予算に組み込むのが現実的
- ローン初期ほど現金余力が少なく保険の効果が大きい
- 地震保険の加入率は年々上昇しており付帯が一般化している
- 地震保険は国の再保険制度で支払いの安定性が高い
- 公的支援だけでは再建資金が不足するケースが多い
- 最終的には家計とリスクのバランスで加入を判断すべき